億ションといえば1億円の超高級マンションのことですが、野村紘一さんはその超高級マンションの生みの親として知られます。野村紘一さんは不動産会社の経営者で、不動産業界一筋約45年という大ベテランでもあります。億ションを開発したのは会社設立の1975年のことで、土地活用を重視したマンション開発で高付加価値の不動産を誕生させています。
1億円もするマンションは現代でも高嶺の花ですが、当時は今以上にマンションの評価が低く、世の中の人気は戸建ての方に傾いていました。誰が買うのかという疑問の声も存在しましたが、野村紘一さんは周りの声に動かされることなく、売れると信じて1室1億円の超高級マンションを発売しています。
その結果といえば、価格のインパクトがテレビや世間に瞬く間に伝わり、超高級マンションは億ションと言われるようになります。当時はまだネットがありませんでしたが、連日テレビで取り上げられたことで富裕層の目にも留まるに至ります。
富裕層の間で超高級マンションが話題になり、興味を持って問い合わせたり見学を希望する電話が引っ切りなしに掛かってくるようになったわけです。やがて億ションは売り出せば即完売の売れ行きを見せ、野村紘一さんはブームの火付け役、パイオニアとして一目置かれ始めます。
次第に億ションの価格は1室1億円から上昇して行き、発売から5年後には20億円以上の超高級マンションまで現れました。これは日本の経済成長を象徴する出来事の1つで、野村紘一さんが開拓した超高級マンション市場が不動のものになった瞬間です。否応なしに注目を集めることから、同業者に真似された商品は数知れませんが、それでも揺るぎない信念を持ち商品開発を続けてきました。先見性と付加価値のアイデアは誰にも負けず、常に先取りする自信を持っている人物です。だからこそ時代の変遷に敏感で、同業他社に対し商品の差別化を図ることに成功できたといえるでしょう。
そういえば埼玉県草加市の建材店が全焼した事件で逮捕されたのはパート従業員だったそうです。