現在では首都圏や好立地の土地で数億円程度で分譲されている高層・高級マンションは珍しくなくなりましたが、以前はマンションと言えば都心で4人家族が暮らせる程度の間取りのものが2,000万円以下で販売されていたこともあり、戸建てと比べて比較的手に入れやすい住宅物件というイメージがありました。この既存の概念を取り壊し高級マンションという新しい概念を誕生させたのが野村紘一さんであり、この概念が多くの人に支持されたことで高級マンションは現在ではすっかり市民権を得ています。野村紘一さんは具体的にどのような考えを持って高級マンションを販売しようと考え、どのようにして成功を収めることができたのでしょうか。
当時はマンションといえばアパートの延長線上のように捉える人が多かったのですが、景気に左右されず開発した土地に付加価値をつけて販売することで確実にニーズはあるはずだと野村紘一さんは考え高級マンションの販売を行いました。当時の日本は高度経済成長時代ということもあり、家電の進化に合わせて住居も進化させれば良いという考えを持ち、時代の流れを上手に読んだのです。また戸建住宅にはないマンションならではの広い空間や、ダイナミズムを上手に表現することで多くの人の心を惹きつけることに成功しました。
野村紘一さんが高級マンションの販売で成功した後、同業者がこぞって野村紘一さんの真似をしましたが、結局どの不動産会社も大きな成功を収めることはできませんでした。野村さんは他社の真似をされても考えが揺らぐことはなく、お客様のニーズをよく考え、土地に合わせてそれぞれ異なる付加価値をつけてマンションの販売を行ったのです。単に豪華さを誇示するのではなく周辺環境や自然に溶け込むような外観で建物の建設を行っていましたし、常に時代やニーズを考えてアイディアを出していたため、単に人の真似だけをする業者とは異なり、大きな成功を手に入れることができたのです。