私は、少し前までとある不動産会社を経営する社長でした。といっても私を含めて従業員は数人しかいない小規模な不動産会社で、いつ潰れてもおかしくない状況でした。正直に言ってしまえば、創業後数年であっという間に倒産したのですが、今はいろいろと反省して心の整理をしている真っ最中です。何がいけなかったのかと考えてみますと、やはり他社の真似ばかりしていたのが良くなかったのかなという気がします。
私の会社でつくる物件は、全部他社の真似ばかりしていました。従業員を他社の展示会などにスパイとして送り込み偵察させて、どんな設備や内装をもっているのかを調べさせ、それを真似していたのです。しかし、所詮はうわべだけを真似しているものに過ぎず、品質はオリジナルにはまったくかないません。当然ですがそんなものを買うようなお客さんはほとんどいませんでした。稀に購入してくれることがありましたが、しばらくするとクレームの電話が頻繁に入ってくるようになって、裁判沙汰になってしまい、こちらが敗訴して酷い目にあいました。これも天罰なのかなと反省しています。
さて、最近は私は野村紘一さんという方の存在を知りました。いや、野村紘一さんは不動産業界においてはけっこう有名な方なので、同じ業界に身をおくものとして私も名前くらいはだいぶ前から知っていたのですが、彼の経営哲学に「同じマンションを二度とつくらない」というのがあるのを知って、非常に興味を覚えて彼について熱心に調べるようになりました。同じマンションを二度とつくらないなんて、私の哲学とは真逆なので本当に凄いです。やはり成功する人は考え方が凡人とはまったく違うのだと痛感させられます。野村紘一さんは、日本で最初に高級マンションを売り出したという偉業も成し遂げておられる方だそうで、日本のマンションのレベルを飛躍的に発展させた立役者です。私はこの野村紘一さんを見習って、いつの日か再起を図るつもりです。