アルテカの社長である野村紘一の発言には、言葉の端々に重みが感じられます。ある雑誌のインタビューでは、業態の思い切った転換を語っていました。バブルが崩壊し土地の値段が下落の一途をたどりつつある時代に、多数の不動産会社が市場から姿を決していったことがあります。
その状況下にあって、野村紘一のアルテカグループでは、堅実経営を守りながらも、住宅不動産業から生活総合産業へと業態転換を打ち出したのです。野村の論旨は非常に明快です。日本は島国で面積が狭く、しかも山が多いので、ヨーロッパの先進国に比べて土地の有効活用では後れをとっている事実があります。そこで景気動向の影響を受けることなく、付加価値の高い開発をしなければならなくなるのです。そこから導き出されたのが億ションという発想でした。
付加価値を徹底して追求した国内初となる超高級マンションのことです。初めて手がけた億ションはベルテ原宿になります。人気を受けて、ベルテはその後300棟以上を建設するといった展開を見せました。その成功を目の当たりにした他社も、次々と億ション建設に走ったのです。野村紘一は億ションのパイオニアの名にふさわしいと言うべきでしょう。
ちなみに、ベルテ原宿は表参道の街のシンボル的なデザインマンションとして評価されています。そんなベルテはアルテカの代表的マンションとなって、ベルテシリーズは西荻窪や南青山などとった都内の一等地に燎原の火のごとくに展開されていきました。野村紘一の偉大なところは、アルテカの事業展開として億ションだけにターゲットを絞るのではなく、中古マンション事業も並行して手がけていっている、という点です。これでリスク分散ができるからです。経済動向が不透明な現在にあっても、億ションの人気が低下する気配は一向に見えてきません。
このように時代の動きを見てまいりますと、アルテカの野村紘一は将来をしっかりt見据えて事業展開をしてきたことが見て取れます。