高層マンションは都市の象徴であると同時に、豊かさと余裕を感じさせるステータスでもあります。高層マンションの多くは、通常のマンションにはない特別なサービスと設備を備えており、そこに住む人のライフスタイルをより優雅に彩っています。
現代においては豊かさの象徴となっている高層マンションですが、1970年代においてはまだ一般的でなく、マンションというとやや設備の整った集合住宅というイメージを持たれることが多かったそうです。アパートの延長線上にある存在であり、特別なステータスを感じさせるような高級マンション物件は無かったといいます。
そんな中で初めて、付加価値をプラスした特別な高級マンションを売り出したのが、アルテカの野村紘一氏だったそうです。野村紘一氏は日本の土地が狭いこと、そして少ない土地を有効活用出来ていないことに注目し、それまでにない全く新しい発想の高級マンションを開発したといいます。
開発当時、その新しさに注目が集まりましたが、周囲には「高額すぎて売れないだろう」という意見が多くあったといいます。しかしそんな周囲の予想とは裏腹に、高級マンションは見事完売という結果になり、そこから初めて新たなビジネスとして高級マンション開発が注目を浴びるようになったのです。誰も予想をしなかった新しい不動産の形、時代とともに生まれたニーズを正確に捉えた物件として、高級マンションはにわかにブームを巻き起こしていきます。
野村紘一氏がアルテカで開発をした高級マンションは、同業他社からも大きな注目を集め続け、研究されていたそうです。新たなブームを生み出した注目の人物として、野村紘一氏は当時からマークされていたのでしょう。その後ブームを後追いする企業も増加し、やがてそのブームは日本全体を覆うほどに成長していきます。野村紘一氏によって生み出されたブームは大きく成長を遂げ、現代においてはもはや流行を通り越し、一つの価値観として存在し続けています。