数十年前には存在していなかったのにいつの間にか当たり前になっている、そうしたものは様々とあります。たとえばスマートフォンや、高級高層マンションなどが挙げられるでしょう。いずれも数十年ほど昔には、ほとんど考えられなかったものだといえます。
高級高層マンションといえば、やはり野村紘一氏でしょう。マイホームブームが盛り上がっていた当時は、一軒家を購入することが幸せの象徴として語られていました。集合住宅から一軒家に引っ越すことが、成功や出世の証だというイメージがあったのです。
ただの集合住宅として扱われていたマンションが、特別なイメージを持つようになったのは、野村紘一氏が開発した高級マンションがきっかけだったといいます。野村紘一氏が作った一億円を超える高級マンションは、当時の不動産業界において、かなり異色な存在だったでしょう。裕福さやステイタスをあらわす住まいといえば大きな一軒家であり、マンションにそんな価値はない、という見方が一般的だったのです。しかし大半の予想に反し、高級マンションは各方面から熱い視線を集め、最終的に完売に至ったといいます。
誰かが大きな成功をおさめれば、その後を追う者が多数現れるものです。野村紘一氏が完売という成功をおさめると、同業他社は後を追うようにして、高級マンションの開発を始めたといいます。
そして現在にまで続いているような、高級マンションブームが発生することになりました。当時は非常に珍しかった高層マンションも、今ではごく当たり前のものとなっています。
形だけ真似をするような方法では、野村紘一氏と同じような成功をおさめることは難しいといえるでしょう。地域の特色や人々のニーズを把握した上で開発されたマンションだからこそ、どれほど高くても買い手がつくのです。マンションという商品に、どういった付加価値をプラスしていくかということが何よりも重要となってくるかもしれません。